【雄冬】 ~ 北海道

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もう40年以上も前の話ですが、あるグループのツアーで北海道の雄冬というところに行きました。

旅程を見ると移動手段に船のルートがあり、「1時間弱なら耐えられるかな」とちょっと緊張したものでした。 出発の日は比較的良い天気で、道央の駅から電車に乗って出発。雄冬という島に着くまでの間あまり海が荒れないといいなあと思っていたのですが、 いろいろ雑談しているうちに「雄冬って島じゃないよ」という仲間の一言。よくよく聞いてみると、雄冬は日本海に面した海辺の集落。 周囲が山に囲まれ海岸線が険しい断崖になっているためバスなどでのアクセスが困難なことから、 船で行き来しているのだという。「エエッ」と驚きました。

増毛駅で下車して、桟橋の上でちょっと身を固くしながら「いざ雄冬」と船に乗りこみました。波はまあまあ穏やかで、切り立った陸地と海のコントラストが美しい。 男っぽい景色を楽しみながら、ウミネコにいじられたり海風にあたっているうちに港に到着しました。 宿に着くと、元気な仲間は海パンに着替えて岩場だらけの海にザブンといったり、一方、宿の中では別のセクションが当時はやりのDISCOダンスを畳の間で踊って部屋の棚をガタガタ揺らしていました。

さて暗くなって晩御飯です。いろいろ海の幸を美味しくいただいたのですが、メニューの中ではっきり覚えているのは1つだけです。 宿の女将さん曰く。「2~3日海がシケたのでこんなのしかないんですよ。ごめんなさい」と説明してくれた一品が「タコの酢味噌和え」。なんと、小鉢のなかで足のブツ切が動いている。 こんなに新鮮で美味しいものは北海道ならではだと、箸でつまんで口にいただく。

「う、うまい」

プリプリムニュムニュした食感がたまらない。野菜の風味、酢味噌とタコの旨味が後から追いかけてくる。さらに、

お腹の中に納まったタコがまだ動いている。

悪趣味だとお思いの方は、ここで記事からエスケープしてください。 こんな経験は、この時初めてでその後はありません。行ってよかった「雄冬」。「ごちそうさま女将さん」あのお味は忘れません。

その後何年経ってからか覚えていませんが、国道やトンネルが、難工事を克服し開通したと聞き「おめでとう」と心の中で叫びました。 また、中年になってから分かったのですが、映画やテレビの題材になったりして有名になったとか。「よかったなあ雄冬」。

「もう一度行きたい旅」ライターTRでした。今回お話した場所は、

北海道増毛郡増毛町雄冬

でした。皆様も「思い出の旅」を是非ご投稿ください。

蛇足ですが、当時、「増毛駅の入場券」がおみやげで流行っていたのを覚えています。買っておけばよかった。当時の私は今の私を知る由もなし。チャンチャン。 雄冬周辺の方々、このコーナーには画像がなくて寂しいので何か送っていただければありがたいです。お願いして失礼致します。


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